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作品とキャラ紹介的な その3

多分作品としては一番お気に入りのやつ(エロ抜きで


【超獣特警ゼッタイガー】
悪の組織『鉄面皮団』と戦う正義のヒーロー・ゼッタイガーの追っかけをする少女とその後輩の少年の話
サイト用辰美2小 
・卯月辰美:新聞部の部長。17歳の高ニ。ゼッタイガーの熱烈なファン。色々とにぶちん
サイト用虎太郎
・大河虎太郎:辰美の後輩。一年生で16歳。何故かゼッタイガーの話題を嫌がる。名前のわりに草食系

(以下より本編↓)


日本征服を企み、非道の限りを尽くす悪の軍団、鉄面皮団。
 それを打破するため立ち上がったのは、世界の平和を守る正義の組織、国際超科学警察機構(通称、超科警)より派遣された秘密警察だった。その名も超獣特警ゼッタイガー。白銀に輝くメタルアーマーに野獣の如き力強さを備えた絶対無敵のヒーローである。
 これはゼッタイガーの孤独で過酷な戦いの日々を描いた物語――ではなく、彼に恋する一人の少女と、そんな彼女に振り回される一人の少年の甘酸っぱい日々を綴った物語である。

 ※※※

「ゼッタイガーの特集を組むわよ!」

 放課後を迎えた学校の、狭い部室の中。獅子脅学園新聞部の部長を務めるこの私、卯月辰美(うづきたつみ)は愛用のデジカメを掲げて高らかに宣言した。
 するともう一人の部員、一年生男子の大河虎太郎(たいがこたろう)は、やや呆れたような目を私に向けてきた。

「……またですか、辰美さん?」
「あによ? 文句あるの?」
「いえ、そんなわけじゃないですけど……ゼッタイガーのことは、こないだ記事にしたばかりじゃないですか。それをまたやるって、学校の新聞としてどうなんです?」
「別にいいじゃない。記事の内容は私達の自由なんだから、なにを題材にしたって。むしろ勇敢でカッコいいゼッタイガー様の大活躍を余すことなく伝えることこそ、私達ジャーナリストの義務ってもんでしょ!」

 胸を張って言い切ると、虎太郎は小さくため息をついた。

「義務っていうか、辰美さんの場合は私情が混ざってるでしょう」

 虎太郎の声音からは「正直やりたくない」という気持ちがありありと伝わってきた。
 そんな呆れたような虎太郎の呟きを聞き流しながら、私はデジカメのメモリを開いて画像ファイルを閲覧する。中身は殆どゼッタイガーの姿を写したものだ。
 虎の意匠を凝らした力強いデザインの全身鎧を纏った戦士が、悪の怪人を叩きのめすシーンの数々。ああ、いつ見たって素敵! かつて鉄面皮団の毒たいやき作戦に巻き込まれたところを助けてもらって以来、私はこのゼッタイガー様の大ファンなのだ。彼が戦う場所には(なぜかいつもこの付近なので)毎回駆けつけるし、写真や動画を撮りまくる。すでに8ギガのメモリースティックを3本も用量いっぱいにしていた。

「にへへ~、ゼッタイガー様ぁ~……素敵!」
「おーい、辰美さーん、帰ってきてくださーい」

 写真を眺めている私の肩を虎太郎が揺さぶる。あによ、邪魔ね!

「大体特集って言いますけど、記事はどうやって書くつもりですか? 彼が何者で、普段どこにいるかなんて、辰美さんも知らないでしょう?」
「確かにゼッタイガー様がどこの誰なのかは知らないわよ。けどね、どんな人なのかは大体想像ついてるわ。いつも見てるからね。あの背丈や格闘家めいた力強い動きから見て、歳はだいたい20歳前後くらいでしょ。性格は寡黙だけど正義感が強くてすごく優しいの。ヒーローだから当然ね。素顔もきっとそんじょそこらのアイドルが裸足で逃げ出すようなハンサムに違いないわ。それから――」
「ストップストップ! えっと、もういいです。ごめんなさい……」

 意気揚々とゼッタイガー様について語っていると、何故だか虎太郎が顔を真っ赤していた。

「って、あんであんたが照れてんのよ? 別にあんたを褒めてるわけじゃないのよ?」
「い、いえその……それは……」

 虎太郎が照れ臭がる理由がまるで判らない。
 まあ、虎太郎だって一般的な視点で見たらかなりカッコいい方だと思う。背は高いし顔立ちもなかなか。髪はちょっとくせっ毛っぽいけど、それも野性味があっていいと多くの女子から高く評価されている。今年の一年生の中じゃ、かなりの有望株だ。私の同級生にも狙ってる子は多いらしい。本人は知らないみたいだけど。
 私に言わせりゃ、ただの生意気な後輩なんだけどね。

「あっ、さては虎太郎、あたしの言葉を疑ってるわね? そういえばあんた、ゼッタイガー様が戦ってるときにはなぜかいつもいなくなってるものね。実は本物のゼッタイガー様の活躍を見たことないんでしょ? だからそんなこと言うんだ」
「……」

 虎太郎は今度は困ったような笑みを浮かべて私を見つめてきた。
 感謝とも哀れみともつかないその穏やかな目付きはなにを意味するのか、私には判別出来ない。

「あによその目は?」
「いえ、辰美さんがそういう性格で俺、助かってます」

 意味はよく判らないけど、なんとなく馬鹿にされた気がする。

「とにかく、辰美さんが言ってることはほとんど想像っていうか妄想ですよね。そんなんじゃ記事にならないでしょう。正しいソースから真実を伝えるのがジャーナリストの仕事だって、辰美さんいつも言ってるじゃないですか」
「それはそうだけど……」
「じゃあ今回はゼッタイガー特集は無し! きちんと学校新聞に合った内容で記事を書きましょう」
「……ぶー」
「ふくれたって駄目です」

 不機嫌になる私に強い口調で言い含める虎太郎。
 確かに虎太郎の言うことが100%正しい。反論の余地すらない。それは私だって判ってるんだけど……、後輩に論破されるのってなんかムカつく!

「なによー、もう虎太郎なんかキライ!」
「えっ!?」

 拗ねて呟いた言葉に、虎太郎はな何故かやたらショックを受けていた。

 ※※※

 泣く泣くゼッタイガーの特集を諦めた私達は、普通の活動を開始した。
 新聞部の活動は基本的に足を使う。記事のネタを探して東西南北右往左往。時に学校の外にまでも足を運ぶ。
 今日は地元の大型百貨店にやって来た。

「ここになにがあるんですか?」

 上に向かうエレベーターの中で虎太郎が尋ねてくる。

「ここの屋上に最近出てるたこ焼き屋さんの屋台がね、すっごく美味しいんだって。それを食べてレビューを書こうと思って」
「それ、ただ辰美さんが食べたいだけじゃないですよね……?」

 半分図星。だけど食べ物系のコラムは人気の記事だし、取材しておいて損はないはず。それに、学校の中をうろついてるより、外に出た方が面白いことに出逢える可能性は高いだろうしね。例えばゼッタイガー様の戦いとか。
 エレベーターは滞りなく最上階に到着。屋上へはここから階段を使って上がる。ここの屋上にはいろんな食べ物の屋台があって、野外のステージではヒーローショーやお笑い芸人のトークショーなんかもやってるため、いつも子供連れの買い物客でまばらに賑わっている。
 今日もそんなほのぼのした光景が広がっていることを疑わず、私は元気よく階段を駆け上がって扉を開いた。

「ふはははは! ここは我ら鉄面皮団が占拠した! 逆らう者は皆殺しだー!」
「きゃー!」「うわー!」「助けてくれー!」

「……」予想外すぎる光景が目に入って、一度扉を閉める。

「辰美さん、どうしたんです?」

 後ろから虎太郎が尋ねてくる。彼の位置からは中が見えなかったらしい。

「ねえ虎太郎。今日ってヒーローショーやってる日だっけ?」
「え? さあ……俺は知りませんけど」

 もっかい確かめてみるか。深呼吸してゆっくりと扉を開いた。
 そこに広がっていたのは、やっぱり阿鼻叫喚の光景だった。
 上半身がタコで下半身が人間という奇怪な姿をした化物が、うねる八本の触腕を振り回して大暴れしている。人々は悲鳴を上げながら逃げ惑っていた。
 ベンチとか遊具とか色々壊してるし、これは間違いなくショーじゃない。考えてみればさっきはっきりと鉄面皮団って言ってたね……。

「どうしたんです、辰美さん? いったい中でなにが……」

 虎太郎は私の背後から扉を覗き込み、

「なっ!? 鉄面皮団の怪人! こんなところにも出たのか!」

 驚いた声をあげ、即座に中へと飛び込んだ。一目散に怪人へと飛びかかり、背中から勢いよく蹴り飛ばす。

「はっ!!」
「ダゴォッ!?」
「みなさん、今のうちです! 早く逃げてください!」

 タコ怪人が倒れた隙に、虎太郎は人々に逃げるよう呼び掛ける。やけに慣れた手際だ。
 それに今の蹴りも本物の格闘家顔負けの威力と迫力だった。虎太郎って、空手とかやってたのかな?
 って見入ってる場合じゃない。私もなにか手伝わなきゃ。

「えっと……みなさんこっちです! 落ち着いて、順番に避難してくださーい!」

 とりあえず大きな声を出して人々を出口に誘導してみる。人々は私の声に従って次々に屋上を出ていく。避難誘導なんて学校の避難訓練くらいでしかやったことないけど、案外なんとかなるもんだ。
 避難を進める間、怪人は虎太郎が引き付けてくれていた。
 蹴りを入れられて怒った怪人は、完全に虎太郎を標的に定めていた。

「タコタコ! 小僧、よくもこの真蛸テンタクル男様を蹴り飛ばしてくれたな。死ぬ覚悟は出来ているんだろうな!」
「それはこっちの台詞だ! 人々の平和をぶち壊す怪人め! この俺が許しはしない! いくぞ、変し――」

 虎太郎は怪人相手に怯みもせず、右腕に装着したブレスレットを空高く掲げて何かを叫びかける。
 だけど横目にちらりとこちらを見て、その動きを止めた。私とかち合ったその視線から、「しまった!」という心の叫びが聞こえた気がした。

「なにをボサッとしている! かかって来ないならこちらからいくぞ!」

 タコ怪人は急に動きが鈍った虎太郎を、鞭のようにしなる足で殴りつけた。

「ぐわあぁぁッ!!」

 タコ怪人の打撃を受けて虎太郎の身体がトラックに撥ねられたみたいに弾き飛ばされる。きりもみ回転しながら数メートル空中を泳いで地面を二回バウンド。金網の柵に叩きつけられて、コンクリートの地面に倒れ付した。

「虎太郎っ!」
「ははは! なんだ、弱いじゃないか! 威勢が良かったのは最初だけだな、タコタコ!」

 私は倒れた虎太郎に慌てて駆け寄ろうとする。だけどタコ怪人が素早く私の前に立ち塞がった。

「あっ……」
「貴様もあの小僧の連れか。ならば貴様も死刑だ!」

 タコ怪人がにゅるにゅると足を伸ばして私の手足を絡め取る。
 恐怖で立ち竦んでいた私はあっさりと身体を引き寄せられ、あっという間にがんじがらめにされていた。

「や、やだっ、離して! 助けて虎太郎!」
「辰美さんっ! くっ、この化けダコめ! 辰美さんを離せ!」

 膝を震わせながらよろよろと立ち上がる虎太郎。ダメージは大きそうだ。それを見下ろしながら、タコ怪人が下品に笑う。

「ケケケ……タコタコ。悔しいか小僧? 貴様の目の前でこの小娘をいたぶってやろうか」

 私は怖くて泣きそうだった。こんなに怖い思いをしたのは先週お姉ちゃんの美顔ローラーを勝手に使って壊して怒られた時以来だ。
 避難が予想以上にスムーズに済んでしまったせいで、もう周りに人はいない。屋上に残っているのは虎太郎と私と怪人だけだった。他人の助けは期待できそうにない。

「化けダコ怪人め! 貴様はなんでこんなところを狙った! ここでなにをしようというんだ!」

 タコ怪人に向かって虎太郎が吠える。ふらふらだけど、意外と勇ましい。

「タコタコ、知りたいか? ならば教えてやろう。ここに出店した人気のたこ焼き屋を知っているか? それ奪えば、その売り上げは全て我が組織のもの。世界征服の資金が調達がさらに捗るというわけだハッハッハ!」
「……」

 目標は大きいくせにやることは小さい。命の危機だというのに、ついて出るため息を押し殺せなかった。
 どうしよう、こんな奴に殺されたら末代までの恥だよ……!

「くっ、こんな奴、さっさと片付けたい……だけどどうしよう。辰美さんがいるんじゃ、ここで変身は……」

 虎太郎は虎太郎でなにやらぶつぶつ言ってる。小声過ぎてなにを言っているかは判らなかったけれど、私を置いて逃げようという気はないらしい。
 普通に考えたら今すぐこの子に助けを呼んできて貰うのがベストなんだろうけど、一人にされるのが心細くてそれは言い出せなかった。
 ああ、こんなときゼッタイガー様が来てくれたら……!
 いつもいいタイミングで来てくれるヒーローの助けを期待したけれど、彼が来る気配は未だ感じられなかった。そういつもいつも都合のいい展開になるとは限らないようだ。

「ん? 小娘、高そうなカメラを持ってるじゃないか。それも頂いておこうか」
「えっ? あっ、駄目! これ本当に高いんだから!」

 怪人は私の首から下げたカメラを強引に奪い取った。まずい! あのカメラにはパーツ代諸々を含めて今年の部費の半分と6ヶ月分のお小遣いをつぎ込んでるのに!

「他に金目のものはないかな?」
「きゃああ! どこ触ってんのよスケベ!」

 さらに私の身体をまさぐりだすタコ怪人。
 これはさすがにまずい。危ない絵面もさることながら、私のポケットには取材の為のICレコーダーが入っている。これまで奪われたら我が新聞部はおしまいだ。

「や、やめろおォ!!! この変態タコ!!!!」

 必死に身を捩って抵抗していると、虎太郎が怒りの形相で怪人に飛びかかった。

「虎太郎!?」
「邪魔をするな!」

 勢いよく殴りかかったものの、タコ足とのリーチの差であえなく弾かれてしまう。地面に落下した虎太郎はすぐさま体勢を立て直し、ブレスレットをはめた右腕を突き出した。

「くっ! 変し――」

 だけど虎太郎がなにかを叫ぶより早く、怪人が追い討ちをかける。足を伸ばして虎太郎の身体を持ち上げた。

「死ね、小僧」
「うわああぁぁ!!」

 そのまま柵の外に向かって彼を放り投げた。重力に従って落下する虎太郎はすぐに見えなくなってしまう。
 ……ってちょっと待って! ここって確か6階建てだよ!?

「こ、虎太郎ぉーー!!!」

 私は叫んだ。だけど当然返事はない。虎太郎の安否を確かめたいけれど、怪人のきつい拘束は振りほどけない。

「虎太郎っ! こたろぉ!!」
「ええいうるさい、暴れるな! 貴様もすぐに後を追わせてやる」
「虎太ろ……うぐ……!」

 怪人は私の身体を強く締め付けた。苦しさで声が出せなくなる。
 虎太郎……! 私の瞳から、苦しさとは違う理由の涙が零れてきた。
 私のせいだ……私がこんなところに来ようなんて言ったから虎太郎が……。
 苦しさと後悔の気持ちで気が遠くなっていく。
 だけど気を失う寸前、私は奇妙な光景を目にした。虎太郎が落ちていったはずの場所から、なにかが飛び上がってくる。それは金網の柵よりも遥かに高く上昇し、夕日をバックにこの屋上の中に降り立った。人間のようだった。虎を模した白銀の鎧を纏った戦士。その姿を見て、途切れかけていた私の意識が一気に揺り起こされた。

「なっ、ゼッタイガー!? なぜここに!?」

 タコ怪人が驚愕に叫ぶ。
 ゼッタイガーは手甲から伸びた鋼の爪を振るい、私を縛るタコの足を切り裂いた。急に解放されてよろける私を優しく抱き止めると、さらに怯んだ怪人に痛烈な横蹴りを食らわせる。

「ダゴォォ~~~っ!!!」 

 タコ怪人は勢いよくぶっ飛んで、頭から金網に突き刺さった。
 わずか数秒の出来事だった。唖然としている私に、ゼッタイガーは向き直って優しく声をかけてくる。

「大丈夫ですか? 辰……いや、お嬢さん」
「ふえっ? は、はい。大丈夫……みたいです」
「そうですか。良かった」

 ホッと息をつくゼッタイガー。仮面に隠れて顔は見えないけれど、優しく笑いかけてくれた気がした。
 憧れのゼッタイガー様が目の前にいるというのに、私の頭の中は安堵やら感激やらがごちゃごちゃ入り交じって、なにも言葉が出なかった。
 しばらくして、ようやく大変なことを思い出した。

「はっ! そ、そうだ、ゼッタイガー……さん! 虎太郎が……私の後輩が、ここから落とされたんです! 虎太郎が、私のせいで……」
「ぎくっ! あーええと、そ、それなら大丈夫です。彼は私が助けました。今は安全なところにいます」

 ゼッタイガーは泣いている私を安心させるようにそう言った。

「ほ、本当ですか!? よかったぁ……」

 安心したら力が抜けてしまい、私はその場にへたり込んだ。
 ゼッタイガーは私に小さく頷くと、再び怪人に向き直り、拳を構えた。怪人はすでに千鳥足でふらふらしている。

「タイガージェット・真!」

 鋭い声で叫ぶと、ゼッタイガーの両足が火を噴いた。ロケットのようなジェット噴射を足の裏から迸らせ、弾丸のように怪人に迫る。

「タイガァァァーーーッ! ストラァァァーーーイク!!!」

 その勢いのまま、タコ怪人に必殺のパンチを叩き込んだ。

「ダァゴォォァァァーーーーー!!!!」

 タコ怪人は悲鳴を上げながら打ち上げ花火のように上空に勢いよく舞い上がり、爆発した。
 もうもうと煙が上がる空に背を向けて、ゼッタイガーはゆっくりとこちらに歩み寄ってくる。白銀の鎧に夕焼けのオレンジが反射して、紅く煌めいていた。
 わあ、すごく絵になる! 思わず写真を撮ろうとしたけれど、カメラをタコ怪人に取られていたことを思い出して地団駄を踏んだ。
 戻ってきたゼッタイガー様は、そっと私になにかを差し出した。取られていた私のカメラだった。取り返してくれてたんだ、さすが!

「あ、ありがとうございます!」
「それでは、私はこれで」

 私の頭を軽く撫でて、ゼッタイガー様は屋上を去っていく。出口からではなく、柵を飛び越えて飛び降りた。
 私はせめて一枚写真を撮ろうと追いかけたけれど、彼の姿はすでに消えていた。

 まさに神出鬼没。か、かっこ良すぎるよゼッタイガー様……!

 私はうっとりしながら、彼が去っていった夕焼けの町並みをぼんやり眺めていた。

「辰美さーん、おーい!」

 するとふいに背後から声をかけられた。振り返ると、虎太郎が入口の前に立っていた。階段を駆け上がってきたらしく、息を切らしている。

「虎太郎っ? こたっ……虎太郎ーー!!」
「辰美さん、大丈夫で……うわっ!?」

 彼の姿を見るなり、私は駆け寄って勢いよく抱きついた。
 バランスを崩して虎太郎は後ろに倒れる。仰向けになった虎太郎に私がのしかかる形になり、虎太郎は苦しそうにもがいている。が、そんなことは気にせず、私は彼の胸に顔を埋めてわんわんと泣いた。

「うえーん虎太郎っ、虎太郎ーっ! 無事で良かったよぉー」 
「た、辰美さ……っ! ちょっとどいて……っ!」
「あのねあのねっ、ゼッタイガー様が助けてくれたんだよ! ビューンって飛んできて、怪人をバーンってやっつけて! めちゃくちゃかっこ良かったんだから!」
「知ってます! 全部知ってますから……っ! とにかくどいて……」

 それから警察と救助隊がやってくるまで、私は真っ赤になってもがく虎太郎の胸で泣き続けた。



 翌日の学校には、私も虎太郎もいつもと変わらずに登校していた。
 あんな事件に遭った後に? なんて驚かれるかもしれないけど、私にとってはこのくらいのことはもう慣れっこだ。大きな怪我でもしない限り学校を休んだりはしない。ていうかお母さんが休ませてくれない。
 虎太郎も腕や頭に軽く包帯を巻いただけで普通に部活にも来た。案外タフな子だ。
 というわけで今日も放課後には、いつものように二人で部活に勤しんでいた。

「あ~、どうしよう虎太郎! 記事を書こうにも写真がないよぅ! これじゃあ記事が書けない~!」

 私は頭を抱えて唸っていた。
 昨日の事件を記事にしようと思ったのだけど、結局写真を一枚も撮っていないことに気付いて嘆いているのだ。
 ゼッタイガー様の大活躍を一面にどーんと大きく記したいのに、文章だけじゃ味気ないし、レイアウトもおかしくなる。昔撮った写真の中で未使用のものを使うって手もあるけど、そんな捏造まがいのことはしたくない。
 ああ、一体どうしたら!?
 悩む私に対して虎太郎はなぜか嬉しそうだった。

「仕方ないですよ辰美さん。今回はゼッタイガーの記事をすっぱり諦めて、別の話題で記事を書きましょう」
「そんなこといっても他にネタなんてないし。せっかくゼッタイガー様の活躍が見れたのにそれを伝えられないなんてぇ~!」狭い部室で私は地団駄を踏む。虎太郎は机の上で崩れそうな資料を押さえていた。「てゆうかあんたは書きたいと思わないの? 昨日のゼッタイガー様の大活躍!」
「俺は別に……そもそも見てませんから」

 視線を逸らしてしれっと呟く虎太郎。なによその言い草! なんかむかつく!
 それにしてもこの子ってばなんでゼッタイガーの記事を書くのをこんなに嫌がるのかしら? ゼッタイガーが嫌いなのかな? だけどこの子って私が知る限り、ゼッタイガーを一度も直に見たことがないはずなんだよね。いつもいなくなってるし。
 なんでだろ……判んないや。

「とにかく、今日は別の話題で記事を書きましょうよ。ネタが無いなら探しに行きましょう」
「う~、そうね。半端な手札で記事を書くくらいなら、そうしたほうがいいわよね。仕方ない。取材に行くわよ、虎太郎。まずは大会近い運動部から巡回!」
「あっ、待ってくださいよ辰美さん。まだ資料の整理が……」

 私は意気揚々と部室を飛び出す。その後を虎太郎が追いかけてくる。
 時刻はもう夕方といっていいけど、季節柄まだ日は高くて、空は明るく青く澄み渡っている。絶好の取材日和だ。私は梅雨入り前の穏やかな涼風の中を、両手を広げて走った。後ろから聞こえる虎太郎の声を背中に浴びながら。

 こんな感じで私達新聞部はいつも元気に活動中。よかったらこれからも見に来てくれると嬉しいな。
 色んな事件やトラブルに首をつっこんで行くから、退屈はさせないよ?
 それじゃあ、またね!

《続きは現在リメイク中。公開未定》
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プロフィール

じゃらみ

Author:じゃらみ
自作小説でオリキャラ同士を絡ませたりします。
他所様のオリキャラを使って話を書くのも好きです。

ちなみにこちらはリンクフリーです。お好きに貼り付けてやってください。

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